今回は「考え抜く力」から「計画力」を見ていきたいと思います。
はじめに「計画力」の内容、例、着眼点について、再確認してみましょう。
【内容】(経済産業省「中間報告」より)
課題の可決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
【例】(経済産業省「中間報告」より)
課題の解決に向けた複数のプロセスを明確にし「その中で最善のものは何か」を検討し、それに向けた準備をする。
【着眼点】(「社基塾」作成)
①課題解決提案書
課題解決に向けたプロセスを明確にし、課題解決提案書(課題・現状把握・目標設定・原因分析・解決策・費用対効果)としてまとめることができる。
②スケジュール化
プロジェクトを実行するうえで必要な作業項目、適性/スキルをふまえた担当者、所要時間/日数、最終期限などをもとにスケジュール化している。(ガントチャート、単独作業を含む時間管理など) 「わかる」から「できる」へと進化させる具体的なワーク内容として、次のようになります。
【ワーク①】 課題解決提案書
「課題発見力」により発見した課題を比較し、優先順位づけをしていきます。
ここでは、フレームワーク「マトリクス」を利用します。縦軸に選択肢である課題を、横軸には評価基準をとります。各評価基準による総合評価(100点満点、○△×など)にもとづき、改善すべき優先順位が決まります。
改善すべき課題が決まったら、いよいよ課題解決提案書の作成です。
改善提案書は、現状把握、目標設定、原因分析、解決策、費用対効果の順番で作成していきます。
それでは、それぞれの項目をどのように考え作成していけばよいのか、ポイントをみていきましょう。
①現状把握
ここでは、課題の現状を客観的なデータや具体的な事実により明確にしていきます。ここでは、提案書を見た方に対して解決の必要性を訴えます。「これは放っておけない、なんとかしなければ!」と思わせれば大成功です。
②目標設定
ここでは、目指す姿、ゴールを明確にします。「実行力」でみてきたようにマネジメントサイクルPDCAのC、つまり評価可能であることがポイントとなります。
③原因分析
ここでは、「現状把握」と「目標設定」のギャップを生んでいる原因を分析していきます。「課題発見力」にてみてきました特性要因図が活躍します。体系的に原因を分析し、最終的に真の原因を突き止めます。
④解決策立案
そして、いよいよ解決策の立案になります。ここは、特性要因図により分析した真の原因を取り除く方法を考えます。「創造力」にてご案内していく「成功事例に学ぶ」や「考え抜く」なども総動員していきます。ここでは、有効性・具体性がポイントとなります。
⑤費用対効果
最後に、この改善を実施するにあたりかかる費用と、改善することによって得られる効果を算出し、比較することとなります。ここで多くの方が戸惑われるのは、効果の数値化です。なぜなら、効果は必ずしも数値に現れるものとは限らないのです。よく言われる定性効果(⇔定量効果)です。しかし、数値化されている費用と比較するためには、数値化しなければなりません。今のこのご時世、費用を下回る効果では、上司からゴーサインを得ることは難しいと思います。
このように手順を踏んでいきますと、どなたでも「課題解決提案書」を作成できるようになります。 セミナーでは、個人で取り組んでいただいてもよいのですが、チームで統一した課題を決めて話し合いながら作成していただいております。最後にチームごとにホワイトボードにまとめ、全体発表、質疑応答を通して、確実に習得していただくという仕組みになっています。
【ワーク②】 スケジュール化
課題解決プロジェクトの計画で活躍するのが、ガントチャートです。 これは、システム開発プロジェクトなどで活用されている手法です。 縦軸に作業項目を並べます。規模に応じて、大項目、中項目、小項目と分類していきます。 横軸には、各作業の担当者、最終期限、そして日付などを記入していきます。 これにより、課題解決プロジェクト全体の進捗状況を把握することもできます。
もうひとつのスケジュール化として、日々の時間管理にも取り組んでいただきます。 ちょうど来年の手帳が売り出され始めた頃であり、日々のスケジュール管理について考えるよい時期だと思います。
みなさんは日々のスケジュール管理をどのように取り組んでいますか。ここでお伝えしているのは、時間管理ができる手帳(またはソフト)を選び、自分ひとりの単独作業もスケジュール化するということです。
会議、打ち合わせなど、相手がいる作業だけをスケジュール化し、空いた時間で単独作業(資料作成など)するなどしていませんか。タイムマネジメントのセミナーでは「突発的な仕事が入った」「所要時間の見積もりが甘すぎた」という感想がよく聞かれます。 単独作業もしっかりとスケジュール化し、突発的な仕事が入りそうになったときには、その影響を図り的確な対応(既存のスケジュールを他へ依頼、期限を延長など)へとつなげます。また、常に所要時間を見積もりスケジュール化し、所要時間見積もり力の強化を図っていただきます。 (文責:古木)