私たちが受けてきた教育を振り返ってみた時に、 「聴くこと」について受けた教育を思い出すことができる方がどれくらいおられるでしょうか。この「聴くこと」は、チームで働くうえで、またコミュニケーションを図るうえで極めて重要な能力要素となります。研修にて「聴くこと」についての演習を行った時に聞かれる多くの感想は「聴くことって、難し~い!」です。そうなんです。実は「聴くこと」は、たいへん難しいのです。この演習の目的のひとつは、「聴くこと」の難しさに気づいていただき、スタートラインに立っていただくことなのです。
「聴くこと」の3大ポイントは、①心構え ②姿勢 ③スキル です。
最初に、「心構え」です。相手の話をさえぎらずに最後まで聴くこと、聴いている間に自分の考えが湧き上がってきても決して口には出さずにひたすら聴くこと、感情的な言葉(うれしかった、残念だったなど)をしっかり拾い心情理解を示すこと、言葉には表れない話し手の本音を聴くことなどが大切な心構えです。
次に、「姿勢」です。これは、「悪い聴き方」を示した方がわかりやすいでしょう。ながら(パソコンなど)、視線を合わせない、腕組み、頬づえ、足組みなどに注意してください。演習では、当初はあえて「悪い聴き方」をしていただき、途中から「良い聴き方」へ切り替え、その違いを体感していただくこともあります。
最後に、「スキル」です。あいづち、繰り返し、要約が、3大スキルです。「あいづち」は、「はい」「そうなんですね」などです。簡単なようでも、「タイミングが難しかった」との感想もよく聞かれます。「繰り返し」は、そのままオウム返しするだけです。それでも、話し手からしますと」聴いてもらっている」という気持ちを抱きます。「要約」は、多少高度なスキルとなりますが、話の内容を別の言葉・表現に代えてフィードバックします。話し手自身が、話の内容を再認識させられる場合もあります。
「聴くこと」の能力を向上させるために練習する機会は、どこにでもあります。友人、家族、地域、地域など、いつでも「聴くこと」を意識し、試してみることです。「聴くこと」は、確かに難しいことですが、慣れてくると無意識にてできるようになります。「聴くこと」は、コミュニケーションの基本です。もしチーム全員がこれを身につけたならば、そのチーム力の結束は強固なものになるでしょう。(文責:古木)