研修にて「ほめることの大切さ」についてご説明しますと、みなさん力強く首をタテに振られます。次に「では、ほめていますか?この一週間で何回ほめましたか、だれをほめましたか、どのような言葉でほめましたか、ほめた後の相手の反応はどうでしたか?」とお聞きすると、戸惑ったような表情を見せながら首をヨコに振られます。これは、人材育成上の課題のひとつである「頭ではわかっていても、行動につながっていない」という典型です。
一方、「叱ること」についても、多くの方が苦手とされているようです。「相手との人間関係を壊したくない」とか「正しい叱り方がわからない」とか「わが身を振り返ると、叱る資格がない」という意見まで。「叱っています!」という猛者が現れたかと思いましたら、それは相手のために「叱る」ではなく、自分のための「怒る」であり、パワーハラスメントまがいであったり。
まわりに働きかける上で、特に「ほめる」は、たいへん重要なスキルです。「ほめることがない」などというご意見もありますが、実は、ほめる材料は、まわりにゴロゴロしているのです。それらに気づき、「数多く、具体的に、タイミングよく」ほめることがポイントです。ほめられて嫌な思いをする方はいないわけですし、何といってもほめるのはタダです。ほめることが上達したら、本来は「叱る」場面であっても、敢えてほめてみてください。受講者の方に今まで経験した「うまい叱り方」についてお聞きすると、「叱られると思ったら、かえって励まされ、やる気がわいてきた」という意見が多く聞かれます。最高の「叱り方」は、実は「ほめること」だったのですね。ぜひ「ほめるプロ」を目指してください。あなたならできます。「社会人基礎力」に関心を持つ方は、みなさん素晴らしい方ばかりですから。これって「ほめる」?(文責:古木)