2011年10月16日
以前に「知ってるつもり」というテレビ番組が「相田みつを」を取り上げて以来、私も「相田みつを美術館友の会」に入会し、時々当館を利用しています。不思議なことに、ここを訪れ、あの書体、あの言葉に出会うたびに、固くなりつつあった心が柔らかくなっていくことを実感しています。これは、彼が人間本来持っている「傲慢さ」(⇔柔軟性)と真摯に向き合い、潔くそれを受け容れた心境から紡ぎだされた言葉だからでしょう。彼の言葉を「読む薬」とは、よく言ったものだと感心してしまいます。
また、この美術館には、隠れた名作があります。それは、来館者が書き綴ったノートです。ここには、詩によって勇気づけられた方々による感謝の言葉がちりばめられています。重い病に苦しむ我が子を想う親の気持ちが綴られ、しばらく読み進みますと、今度は元気になったその子から親に対する感謝の言葉が綴られ、まさに時間や空間を超えた人間ドラマが展開されているようでした。
32歳の若さでこの世を去り、伝説の救援投手と呼ばれる広島カープ津田恒実投手も、生前に「長い人生にはなあ~」から始まる「道」という詩を額に入れ、目につくところに飾っていたそうです。私は「みんなほんもの」という詩の「みんなほんものなのに 骨を折って にせものになりたがる」というフレーズがお気に入りです。これは、野田総理が引用された「ドジョウ演説」と相通じるところがありそうです。
ぜひみなさんも、「じぶん」にあった詩を選んでみませんか。きっと心の柔らかさを実感されることでしょう。(文責:古木)