今回の「第2の矢」は、「キャリアチェンジ支援」としてのシンポジウム
「成長分野を拓く人材のキャリアチェンジと多様な人材の活躍による事業展開の新たな可能性」(3月14日経済産業省主催)です。これは、産業構造の変化に合わせた人材の育成・キャリアチェンジの必要性について考える機会を提供するイベントでした。
基調演説では、高橋俊介氏(慶応大学大学院特任教授)のお話を拝聴することができました。高橋教授は、キャリアチェンジの例として電気自動車を取り上げて説明されました。「電気自動車の製造が拡大すれば、内燃機関の製造は縮小していき、キャリアチェンジの必要性が高まる。今までこのような縮小産業に従事してきた多くの方々を、いかに成長産業(福祉など)へシフトさせていくか。社会環境の醸成、企業のキャリア育成、個人の意識改革や学び直しについて考えていかなければならない。」とのことでした。
キャリアチェンジのためには「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)」が大切
ここで印象に残ったのは、キャリアチェンジのためには「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)」が大切と力説されていたことでした。人のスキルを階層別に見てみますと、一番の基礎は「ポテンシャル(基礎的能力)/スタンス(仕事に対する姿勢)」であり、その上に「ポータブルスキル」が形成され、最上階層に「テクニカルスキル(専門的能力)」が形成されます。産業構造が変化していく中、キャリアチェンジを推進していくためには、この「テクニカルスキル」の学び直しを余儀なくされます。その時に重要になるのが、それを支える「ポータブルスキル」だというのです。このスキルは、今の産業や組織内だけで通用するようなものではなく、他の産業や組織へシフトしても通用する基本スキルなのです。
「ポータブルスキル」についてお聴きしたとき、「それこそまさに社会人基礎力ではないか!」とひとり得心した次第です。シンポジウムの中では、特に40~50歳代の方々の「キャリアチェンジ」「ポータブルスキル」の必要性について述べられていました。「社会人基礎力」は若者だけではなく、中高年齢層の方々にとっても必要な能力になるということを予感させてくれたシンポジウムでした。
次回は、「第3の矢」についてご報告していきたいと思います。(文責:古木)