「創造力」の推薦図書としては、ジェームス・W・ヤング著「アイデアのつくり方」をあげたいと思います。本書は全体で100ページ、うち30ページ超が竹内均氏による解説が占めるという、たいへんコンパクトな本です。しかし、そのサイズに似合わず現在までに60刷近く増刷が繰り返され、この本の帯に記されている「60分で読めるけど一生あなたを離さない本」は、決して偽りではありません。元広告代理店勤務のヤング氏が本書を通して伝えたかったことは「アイデアの作成は、フォード車の製造過程と同じように一定の明確な過程である」という」メッセージです。では、アイデアを製造する過程をみてみましょう。
【前提】 把握しておくべき事実
①5つの段階を一定の順番で通り抜けるという事実
②どの段階にもそれに先行する段階が完了するまでは入ってはいけないという事実
【過程】 5つの段階
第一段階 特殊資料(テーマにそった知識)と一般知識(あらゆる方面の知識)を収集する段階
⇒「この第一段階がどんなに無視されているか」
第二段階 これらの資料を租借する段階
⇒「心の触覚とでもいうべきもので、一つ一つ触ってみること」
第三段階 問題を意識の外に移し、創造過程を刺激し消化する過程
⇒「食料を集め、それを十分に咀嚼し、胃液の分泌を刺激し消化する過程」
第四段階 アイデアが訪れてくる段階
⇒「その到来を期待していないときに突然訪れてくる」
第五段階 アイデアに手を加える段階
⇒「多くのアイデアが陽の目を見ずに失われてゆくのはここ」
この5つの段階は、発見した課題に対して計画を立て、最後に有効な対策を検討するうえで必須なスキルとなります。「つねにそれを考えること」、考え抜くことを大切にしてきたいと思います。ぜひみなさんも、本書を読む60分を捻出してみてください。(文責:古木)